第29回 公共財の分類
「公共財(pubic goods)」の供給も、市場の失敗の一例と考えられています。
ミクロ経済学が、基本的に扱う財は、市場で取引される「私的財(private goods)」です。
私的財は、個人の所有権を基本としています。消費者は効用を得るために、生産者から、対価を払って財を購入し、所有権を得ます。その所有権は絶対権であり、排他的な権利です。ひとことでいえば、自分のものはあくまでも自分のものです。
それに対して、公共財は、誰でもが自由に利用でき、かつ、お金を支払わなくてもよいというものです。前者の条件を、「非競合性(nonrivalness)」といい、後者を、「非排除可能性(non-excludability)」といいます。
この2つの条件を満たすものを、「純公共財(pure pubic goods)」といいます。
図表の右下の部分がそれです。
先の私的財は、左上の部分です。
公共財の2つの条件のうち、一方が欠けているものは、「準公共財(semi-public goods)」という場合があります。さらに、競合性は「ない」のですが、排除可能性が「ある」ものは、「自然独占(natural monopoly)」と呼ばれることもあります。ここでは、マンキューのフレームを使っているので、その用語を援用します。それに対して、競合性は「ある」のですが、排除可能性が「ない」ものを、「共有資源(common resources)」といいます。
それぞれには、最も定型的な財が書かれていますが、2段目には、道路が書かれています。道路は、公共財だろうと一般的には思います。なぜなら、道路は、国道なら国が管理し、県道、市道なら、それぞれ県や市が管理しているからです。もちろん、私道というものもありますが。
公共財の概念で注意すべきは、だれが供給し保有・管理するかではなく、財それ自身の特徴(さきにあげた財の条件)から、分類されるということです。
この続きは次回します。