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マクロ経済学第25回 貨幣の機能

 標準的なマクロ経済学のテキストでは、貨幣の手段性および次回の貨幣の種類を定義としています。マクロ経済学としては、それで事足りるからでしょう。

 貨幣の機能として、ほぼどの本も以下の3つを上げていますので、ここでもそれを示します。

 第一の機能は、「価値尺度(value scale)」です。この世の中には様々な財があるとともに、大抵は差別化・差異化されているので、ある財の価値(価格)を決定することは簡単なことではありません。この場合、貨幣価値または金銭的価値がつけば、取引は格段に容易になります。そこで、価値の尺度として貨幣は使われるのです。

 第二の機能は、「交換手段(medium of exchange)」です。A財とB財があり、いまA財を売ってB財が欲しい人と、B財を売ってA財が欲しい人をマッチングさせることは大変に難しいことです。そこで、A財を売ってお金に換えて、そのお金でB財を誰かから買う方が明らかに容易です。この媒介として貨幣が役に立ちます。ただし、現在のシェリングエコノミーでは、この探索コストやマッチングコストを大幅に下げることが可能になり始めています。ただし、いまでも完全な「物々交換システム(barter system)」はないといってもいいでしょう。

 第三の機能は、「価値貯蔵手段(means of store of value)」です。財の保管にもコストがかかります。または、腐ったり、傷んだりすることはよくあります。そこで、財を売って、その対価としてお金をもらうならば、貯蔵が容易です。現金を預金しておけば、いくらかでも利子がつきます。もっと利潤率の高い投資もあるかもしれませんが、その場合はリスクが伴います。リスクを考えるならば、貨幣の所有または預金が望ましいといえます。

 このように、3つの機能が貨幣にはありますが、前回にも少し出てきた電子マネーは、貨幣(通貨)でしょうか。3つの機能と照らし合わせると、価値尺度としては、その値段が不安定すぎるように思われますし、現金ほど交換が容易ではありません。貯蔵も安全なのか疑問なものもあります。ただし、すべての国の通貨が安定的に3つの機能を持っているともいえません。と考えると、貨幣に近似したものか、別の名前のもの、いまは暗号資産という名前もあります。貨幣の代替または補完的機能を持った電子的な資産といえるものでしょう。

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