第14回 供給曲線のシフト
供給曲線も、いろいろな要因でシフトします。
企業は、資本と労働を組み合わせて、いろいろな財を生み出します。
その生産コストが低下するか、生産能力が拡大すると、原則、供給曲線は、右下方にシフトします。それに対して、コストが高まるか、生産能力が減少すると、左上方にシフトします。
図表のS曲線からS’曲線のシフトは、生産コストが低下したか、生産能力が増大した場合を示しています。
均衡点が、EからE’になることによって、財の価格は低下し、生産量は増大しています。
ここで、供給曲線がシフトする理由を考えてみます。
その理由の第一は、すでに述べたように、生産コストが低下した場合です。コストが低下するためには、労働力のコストが下がることや、資源価格が下がることが考えられます。一言でいうと、生産要素が低下する場合です。
第二の理由は、技術革新(イノベーション)によるコストの削減です。ここでいうイノベーションは、J・シュンペータが述べるような様々なイノベーションです。たとえば、生産技術の向上や新しい資源の調達方法や販売方法の開拓・改善です。また、組織の変革も中に入ります。企業がいかなる理由であっても、生産性を向上させれば、それはすべてイノベーションの成果と考えます。
企業は、絶え間ない創意と工夫によって、コストを削減して、生産量を高めようとする存在なのです。