第2回 インターネットの地図の含意
このコラムでは、インターネットビジネスのあれこれを基礎的な理論から、現実システムまで自由に議論していきたいと考えています。
インターネットビジネスを考えるときに、やはり、ネットワークの原理や意義や価値および形などを知っておいたほうがよいでしょう。そこで、今回は、インターネットの現実的な世界大のつながり方を考えてみます。そのために、まずは、「インターネットの地図」を取り上げます。
インターネットの研究者は、もともとは、網目状(web状)のネットワークを構想しました。軍事目的かどうかは別にして、何かの障害で通信不能になりにくい情報通信網が望ましいからです。
そのインターネットも1990年代になると、世界中の人々がインターネットを個人間のコミュニケーション、企業活動および商業活動のために自由に使い始めました。
誰もが、好き勝手に使うようになったインターネットのつながりはどのような形であるかを、1998年、チェスウィック&バーチが、実際のつながりを調査しました。その結果は、以下の通りです。
さて、このインターネットの地図は、何を意味しているのでしょうか。かつて、有名な哲学者は、「現実的なものは理想的なもの」という言葉を残しました。先にも述べたように、このマップは、単純な網目状とはまったく異なります。完全にランダムというよりも、ある種のパターンの複合体のように見えます。
世界中の人々が、自由に使った結果であり、誰が制御したわけでもなく、支配しているものでもないのです。いわば、もっとも民主主義的なネットの利用の現実なのです。
ネットワークに求められるものには、まずは、なるべく早く確実に望む相手とコミュニケーションをすることです。かつ、通信障害が少ないことであり、できれば通信コストが少ないことが望まれます。
結果、通信費用は安く、世界の誰とでも早く通信できます。
この一見、乱雑にみえ、美しさにかけるインターネットの通信の法則を考えていきます。