第30回 道路と公共財
前回、公共財の分類をみました。私的財以外は、公共財といえます。私たちの生活を考えてみても、確かに、私的財は、種類も豊富ですが、生活のかなりの部分、公共財を利用していることが分かります。
道路は、人や物資を運ぶための交通手段の基盤のひとつです。輸送方法は、道路のほか、鉄道や海運や空路もありますが、それらも道路と接続ができて機能しているといっていいでしょう。
道路こそは、公共財の代表のように思うのですが、マンキューのフレームでは、これも4つのセクターに分かれると考えています。
ここで、復習の意味も兼ねて、4つの分類の基準をみてみます。横軸は、競合性で、誰かが使うと誰も使えないのか、誰もが使えるのかで分けるというものです。誰でもが使えるということを、「同時消費性」があるという場合もあります。縦軸は、排除可能性でした。利用の費用を払わないものは排除されるかどうかです。この場合、理論的には排除できるのですが、そのためには巨額の費用がかかる場合は、排除コストが高いので排除しません。また、排除しない方が、社会的に良い場合も排除しません。
ここで、道路の公共財性を考えたのが、下の図表です。
左上には、私的財がきていますが、道路では、「有料道路で混雑している場合」をいれています。たしかに、日本の盆や正月には高速道路も大渋滞をしていて、利用を控える人々も多くいるでしょう。道路の取り合いといえるかもしれません。右下は、純粋公共財ですが、「混雑していない無料道路」をいれています。道を歩くときに、いちいち通行料を取られることでは自由な活動ができなくなるとともに、誰がどこを通ったかを監視するコストは考えられないくらい高くなるでしょう。
ここで、右上には、自然独占として、「有料道路ではあるが混雑していない場合」があります。自然独占は、地域独占と呼ばれることもあります。左下には、共有資源として、「混雑している無料道路」があります。
ここでみたように、同じ道路であっても、有料かどうかと、同時にみんなが使える状況かによって、道路の公共財性が異なるといえます。