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第70回 「逢引のジレンマ」のゲーム

 今回は、「逢引のジレンマ(Battle of sexes)」というゲーム戦略をみていきます。

 ここでも以下のような利得表を使って、論じていきます。 

図表 逢引のジレンマの利得表

 ここで、逢引のジレンマの戦略の前提としての構成要素を述べてみます。

 プレイヤーは、男女2名とします。どんな「逢引シーン」(駆け引き状況)でもいいのですが、ここでは、食事を一緒に行こうという約束をしたのですが、さてどちらの食事をするのかという選択を巡る駆け引きとします。

 男女がとりうる行動は、一緒に食事することは合意しているのですから、問題は、自分の好みの食事をするか、相手の好みの食事をするかということです。

 また、図表のような利得表があるとします。

 ここで、ナッシュ均衡であるかどうかを、前回同様の手順で判断すると、今回は、ナッシュ均衡が、(洋食、洋食)と(和食、和食)の2つあることが分かります。ここでは、2つのナッシュ均衡が存在する状況となっています。

 ゲームの理論では、ナッシュ均衡が必ずしもひとつとは限らないことをこのゲームは示しています。

結果、とりうる解は、「唯一解(unique solution)」ではないということになります。

もっといえば、この世の中の現実的な社会経済問題は、ナッシュ均衡が多数存在する可能性が否定できないということです。

ミクロ経済学では、「最適解(optimum solution )」とは原則唯一解のことですが、ゲームの理論でいえば、唯一解を得るためには、これ以外の条件や解決方法が求められるといえます。

 今回のケースでいうと、逢引のジレンマは、英語でいうと、「男女の戦い」ということですので、どちらの主張が通るかは、まさに、男女間の状況や思惑や力関係などで決まるといえるでしょう。

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