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マクロ経済学第30回 流動性のわな

 これまで、何回かにわけて貨幣需要を考えてきました。

 今回は、「流動性のわな(liquidity trap)」を考えます。流動性のわなとは、「貨幣需要が利子率に対して無限大となり、貨幣の流通性選好表が水平になる状態」のことです(井堀利宏『入門マクロ経済学』新世社)。

 ここで、ケインズの貨幣供給と貨幣需要は、次の第一式で示されます。

  M = L1(Y) + L2(i) ・・・・・・・①

 L1は、取引需要で、国民所得の増加関数となります。これに対して、L2(図表のL)は、投機的動機にもとづく貨幣需要ですが、利子率と貨幣需要は減少関数として捉えています。ここで、利子率が図表のように著しく低い場合(i)、流動性選好表は、水平な直線になるとみました。このような状況では、貨幣供給(M)を増やしても投資が増えないことになります。ほかの言葉でいいかえれば、債券の購入がなくなると考えるのです。

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