マクロ経済学第42回 クラウディングアウト
政府が財政政策を積極的に出動させると、国民所得は、原則、増大します。
しかし、その資金として、政府が大量の国債を発行させると、これまた原則、利子率が上昇します。
この利子率の上昇は、民間企業の投資を減少させることになります。
なぜなら、民間企業にとって、利子率の上昇は投資コストの上昇を意味するからです。
せっかく、財政に関する乗数効果がみられて、国民所得が増加しても、民間投資が減少すれば、その増加は減殺されます。いうなれば、民間企業の生産活動の妨げになることもあるということです。
このような効果を、「クラウディングアウト効果(crowding out effect)」と呼びます。または、「押し退け効果」といいます。
ここでの本筋から離れますが、財政政策の有効性は、ここで話をしているマクロ経済学の理論面もありますが、経済主体の中心はあくまでも民間企業なので、その活動の支援をすること(例えば補助金など)はあっても、政府がそもそも有効な経済政策を打てるのかという実態面もあります。この財政政策の有効性論は、公共経済論でも盛んに議論されており、また論じたいと思います。