マクロ経済学第45回 総需要曲線につて
IS-LM分析では、物価が一定であるとして、財市場(財物市場)と貨幣市場(金融市場)の均衡を議論してきました。
しかし、現実の経済においては、物価の上下は大きな関心事であり、通貨供給量に対して大いに影響を与えます。
そこで、ここでは、財市場と貨幣市場の均衡を満たしながら、物価(P)と国民所得(Y)との関係を示した曲線、「総需要曲線(Aggregate Demand: AD)」を考えることにします。
貨幣市場の均衡式は、次式です。
L(Y, i) = M/P ・・・・・・・①
この式の左辺は、貨幣需要関数であり、すでに述べたように、貨幣需要は、国民所得(Y)とは正の相関性を示し、利子率(i)とは負の相関性を示めすと考えられます。
この右辺は、貨幣供給関数を示し、Mは、「名目貨幣供給量(nominal money supply)」です。Pは、物価です。ここで、名目貨幣供給量は、政府当局の任意の政策にもとづき、外生的に与えられると考えます。ここでは、一定と考えます。すると、物価Pが上昇すると、「実質貨幣供給量(real money supply):(M/P)」は、減少します。実質的貨幣供給量が減少すれば、LM曲線は、左上方にシフトしていくことになります。
ここで、IS曲線は、物価の上昇とは関係がないので、IS曲線は、シフトしないこととなります。
よって、総需要関数(AD曲線)は、横軸に国民所得をとり、縦軸に物価をとる平面では、右下がりの曲線になるといえます。