マクロ経済学第5回 流動資産仮説
流動資産仮説(Liquid assets hypothesis)は、J・トービン(James Tobin; 1918-2002)が提唱した消費関数仮説です。
平均消費性向が、長期的には一定であることを説明します。
所得が同水準であっても、流動資産が多い人は、消費を高めると考えられます。ここでいう流動資産とは、現金に換えやすい資産のことであり、現金、預金、売掛金、受取手形などを指します。
ここで、定式化を試みます。
C = a + bY + cM ・・・・・・・①
C/Y = a/Y + b + cM/Y ・・・・・②
C:消費 Y:所得 M:流動資産 (a b cは、正の定数)
第一式は、ケインズの短期消費関数に、流動資産であるcMを加えたものです。その両辺をYで割ると、第二式となります。
a/Yは、所得の増加によって、値は低下します。しかし、cM/Yは、M(流動資産)が大きい場合、右辺全体は一定になるといえます。結果、平均消費性向(C/Y)は一定となるといえます。
まとめると、流動資産仮説では、消費は、所得と流動資産に依存するといえるのです。