第1回 AIマーケティングとは
マーケティング領域に、様々なICTおよびAIを活用して、経営的成果をあげようとする活動を総称して、「AIマーケティング」とここでは呼ぶこととします。
マーケティング活動は、現代の企業経営において、徐々にその重要性が高まっています。なぜなら、企業がおかれた状況・環境が、それを求めているからです。まずは、「P・コトラーの認識」から、概観してみましょう。
その認識の第一に、「消費財分野において流通機能が極度に集中化した」ということです。たとえば、ネット販売(EC)でいえば、アマゾンや楽天は大変に大きな販売額を実現しています。このなかで、中小の製造業や中小の流通業はいかに対処すべきかという課題が生まれています。
第二は、「競合企業の数は減少しブランド数は激増している」ということです。本来は他企業との競争ですが、それぞれのブランド間の競争ともいえます。ブランド数が増えると、ひとつのブランドの認知や販売量は原則低下していきます。
第三は、「製品のライフサイクルが短くなった」ということです。生産機械の低価格化とICTの高度な利用により、これまで以上に、短期間で製品を作れるようになっています。さらには、OEM業者も多数存在するので、注文すればすぐに様々な製品を作ってくれるのです。サイクルが短くなると、自身の製品はすぐに陳腐化してしまいます。
第四は、「市場が極度に細分化している」ということです。これは第二の認識と似ていますが、これまでのような巨大な市場はなくなり、それぞれの細かい市場に分割されつつあるということです。人々の創意と工夫やイノベーションが、新しいジャンルやカテゴリーを次々と生み出すのです。
このようなコトラーの認識を認めると、各企業は、商品情報や顧客情報を一層早く、かつ、正確につかむ必要があるのです。
AIは、データマイニングの一種ですので、より多くのデータを、より迅速に、より高度に、マイニング(解析・生成)することが、マーケティング分野に大いに求められているのです。