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第2回 AIのマーケティングにおける基本的役割

 AIも経営学および経済学的にみますと、「資本」(Capital)の一種であるといえます。他の言葉でいえば、生産手段の一部です。

 さらにいえば、AIは、資本形成または生産要素です。この場合、AIによる生産の自動化・半自動化は、生産効率を高めるものなのです。また、労働代替でもあります。労働者の代わりに、生産を実現するのです。代替でなくとも、労働者の生産の支援または時間短縮にも役に立つでしょう。

 このAIは、ICTの一角であり、情報システムまたはソフトウエアでもあります。よって、これまでの情報投資の考え方が、基本的に当てはまるといえます。

 では、情報投資は、いかなる効果をもたらすのでしょうか。

 その第一は、コストの削減です。様々な情報処理のコストを減らせることができます。もともとは、FAとして活用され、その後、OAとして利用されたのです。その延長として、たとえば、RPA(Robotic Process Automation)では、書類の自動処理が可能となります。紙ベースの事務処理は、これまで大変な労働でした。作成も大変ですが、保管がさらに大変です。これが、RPAを導入すれば、労働者は削減でき、大変面倒くさい労働から解放されるのです。また、チャットボットでは、24時間、365日、人に代わって、顧客からの質問や苦情に対応してくれます。生産面では、画像認識によって、原材料や商品の選別が可能になります。このように、生産活動や管理業務の面で、自動化または半自動化ができれば、情報処理コストは大幅に抑制することができるのです。

 第二は、付加価値の創造です。AIを利用することで、企業は、様々な付加価値を生み出すことができます。たとえば、自動車の運転を挙げてみましょう。AIを応用することで、自動運転ができるようになるかもしれません。勿論、一般道路での自動運転は、そう簡単に実用化できそうにありません。しかし、限られた場所、たとえば、倉庫などでは、ほぼ自動化できています。カーナビの精度を向上させたり、対話型のナビゲーションも可能となっています。または、人の居眠りやミスを回避したり、追突防止や誤操作などの防止にも関わっています。画像認識では、人の判断よりも高度な判断も可能となりつつあります。それは、医療現場で使われたり、様々な生産現場で利用されています。自然言語処理では、自動翻訳や自動会話がある程度可能となっています。また、商品データベースや顧客データベースを活用すれば、新しい商品の設計や開発の支援となります。人の常識的な判断を超えたものも生み出せるようになります。AI自身が創造できなくても、人間の創造性を引き出したり、創造性を支援することでもいいのです。まずはこの面から付加価値を上げることが期待できるでしょう。

 第三は、上記2つの効果による企業競争優位の実現です。上記の2つをまとめると、コスト削減と付加価値の増大によって、企業の経済性を高めることができます。

   E =  B /  C     ・・・・・・1式

    E = B - C  ・・・・・2式

  1式では、B(便益)が同じであれば、C(費用)が下がれば、E(経済性:コスト1円あたりの便益(利益))は、高まることを示します。Cが同じであれば、Bが上昇すれば(付加価値が増加すれば)、Eは向上します。2式では、BからCを引いた残余の大きさとなって表されています。

 どちらにしても、Eが高まることで、企業は、競争力が向上するとみます。

 このように、AIは、企業活動の様々な領域や部門に適用されることによって、企業力を高めることができるのですが、マーケティング活動でいえば、マーケティングにおけるコストを削減し、付加価値を高め、自社の商品の販売力を向上させることができるといえるでしょう。

 マーケティング活動が、企業活動の中心軸になりつつある中、AIによる支援は、きわめて重要なファクターとなりつつあるといえます。

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