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総合システム論 第31回 地下茎

 構造主義は、人間社会の背後に、目にはみえない規範や構造があることを発見しました。

 ポスト構造主義は、その構造による人間の束縛からいかに逃れるかをテーマにしました。

 既存の構造のなかで、いかに、自由な主体的な行動を取るのか。または、構造それ自体を変容できるのか。構造を乗り越えることはできるのかを考えます。

 この問題は、パラダイム論でいえば、パラダイム(規範)を破壊した後にもなんらかのパラダイムができ、乗り越えてもその先には、またパラダイムがあると考えざるを得ず、このような思考法自体が問題であるともいえます。

 今回は、「地下茎(リゾーム:rhizome)」の話です。もともとは、植物用語の地下を這う茎のことですが、ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925-1995)が提唱した哲学用語です。

 地上にある木は、一本の太い幹とそれから広がった幾本かの太い枝、さらに細い枝があり、根元から、体系的に広がっています。これを、人間組織の秩序のメタファーとして捉えます。まさに、樹状(ツリー)的階層です。典型的には、官僚機構や軍隊のような組織性を示します。また、ツリーは、学問における分類や体系の象徴とみます。近代の知は、様々な領域でこの知的ツリーを打ち立てることが目的であったといえます。

 これに対して、地下茎(リゾーム)は、それとは逆に、中心性をもたず、勝手気ままに、伸びていきます。その形状は網目状で、アモルファスです。領域を超えて、伸びていくこともできます。この場合は、「脱領属化」するといいます。自分のテリトリーから離れて、新しい世界を獲得しようとすることです。

 この地上の木と地下茎は、人間世界の対照的な生き方や組織性を示しています。地上の木は、大企業や官僚組織に喩えられ、地位と権限が厳格に決まっており、上意下達の仕組みとなっています。それに対して、地下茎は、自営業や中小企業の集まりにたとえることができます。ネットワーク型の組織やコミュニティといえます。

 しかし、この地上の木と地下茎や根は、両方とも相まって、全体の木を維持しています。地下茎や根がなければ、木は、風雨に耐えられません。水分や養分の補給もできません。まさに、下が上を支えているのです。一方、木が、葉から養分を作り出し、実をつけ、種を拡散することで、木の繁栄がもたらされます。

 これまでは、地上の木のみにまさに光が当たっていたきらいがあり、地下茎の存在は、アンチテーゼといえるのです。しかも、両者が相まって、木という存在を維持しているということです。

 この発想からは、二項対立的な発想から、3項、すなわち、社会全体の組織性は両方の原理が必要であるとともに、互いを排斥せず、全体の発展を考える思考が求められるといえるでしょう。

 まさに、相補的な役割が双方にあるのです。

 

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