マクロ経済学第34回 政策とは
前回、経済政策について、少しお話ししました。そこで、ちょっと迂遠ですが、「政策(Policy)」とは何かを考えてみたいと思います。
名著、岩田規久男・飯田泰之著『ゼミナール経済政策入門』(日本経済新聞社)では、経済政策は、ミクロ経済政策、マクロ経済政策、所得再分配政策の3つがあると述べ、その経済政策を詳細に論じています。ただし、政策とはなにかについては、述べられていません(少なくとも索引にはその言葉はありませんでした)。
政策という言葉も極めて一般的・日常的に使われているので、自明のこととされていると考えられます。
そこで、辞書で調べてみると、「政府、政党、団体または個人が公共的な問題についてとるべき方向や態度」と、「目的を遂行するための実行手段」と2つが書かれています(『精選版日本国語大辞典』引用)。
この2つの定義を合わせて政策概念を考えると、まずは、公共的問題が対象であり、それを、主に、非営利の主体が、その問題を解決するために採用する方略や手段であるといえそうです。
経済領域ないしは経済分野では、認識または理解のための経済理論と、それにもとづいて現実的に実践・解決する経済政策があるといえるでしょう。
上記書は、ミクロ経済学とマクロ経済学および再配分理論にもとづいて、それをどう考え、どう実現していくのかを論じた本といえます。
また、近年は、政策学または政策科学という概念をよく耳にしますが、政策学とは「政策・政策過程を分析し、政策を最も合理的に達成する手段や方法を研究する科学」(『デジタル大辞泉』引用)としています。この説明でも、政策自体は自明なものとして扱われているといえます。
どちらにしても、経済における政策は、経済課題や現象を理解するだけではなく、より望ましい目標を実現する方法や実践面が強調されているといえるでしょう。