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マクロ経済学第77回 資料編その16

 前回は、インターネット付随サービス業をみてきましたので、今回は、情報サービス業をとりあげてみます。資料は、総務省『情報通信白書令和2年度版』からです。

 この分野は、狭義の情報産業といってもいいものです。

 いわゆるプログラマーやSEなどが活躍する仕事です。

 図表1は、この産業の内訳です。

      図表1 業種別企業数と売上高

[総務省『情報通信白書令和2年度版』から引用]

  2018年の売上高は、18兆5千億円あまりで、前年比、5.8%増です。急成長とはいわないまでも、堅調な伸びを示しています。もっとも大きな業種は、「受託開発ソフトウエア業」で、売上高はおよそ8兆6千億円、二位が「情報処理サービス業」で、およそ4兆6千億円です。

 これをみると、日本企業は、自社専用のソフトウエアが大きなシェアを占めているのですが、その大半は、業者への委託ということです。これ自体は、専門業者へのアウトソーシングといえるので、問題はないのですが、自社内に情報システム関連の専門家が少ないといわれています。これが、いま話題のDX化が遅れている理由のひとつにあがっています。

 すべての企業部門のデータ・情報・知識を、デジタル化・可視化するためには、自社内に情報専門家(CIOからSEまで)をある程度はそろえる必要があると考えます。

 自社内の情報専門家が増えると、自社の労働者数が増えます。すると、労働生産性が低下します。しかし、自社の特殊的資産は自社の人間しか分からないので、自社の情報専門家がいることによって、最適な情報システムが構築できると考えられます。また、自社に情報専門家がいることで、自社内部に情報システムに関するもろもろの知識・ノウハウが蓄積していきます。これが、また新しい特殊的資産となります。

 それが、企業の付加価値の増大とコストの削減につながると考えられます。この効果によって、情報専門家の増員分のコスト以上に効果が生まれれば合理的な行動だといえます。

 まとめると、日本企業は、これまでは専門業者に丸投げだったことを改める必要があると考えます。

 繰り返しになりますが、それが今後のDX化に向けての基盤形成につながるのです。

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