マクロ経済学第23回 IS曲線の形状
これまで3回にわたって、IS曲線についてお話ししましたが、今回はIS曲線の形状について考えます。
その前に、おさらいとして、IS曲線式を下に示します。
i = -(1-c)/ε・Y + (c0 + I0 + G)/ε ・・・・・・①
ここでは2つの要因で、IS曲線の傾きを考えます。
その一は、第一式の「投資の利子弾力性」要因の変化です。「投資の利子弾力性(interest elasticity of investment):ε」とは、利子率が1%変化したときに、投資が何%変化するかを示したものでしたが、ε(弾力性)の値が大きくなると、国民所得(Y)の係数の絶対値が小さくなり、結果、IS曲線の傾きの絶対値は、小さくなります。すなわち、曲線が、水平に近づくことなります。逆に、ε値が小さくなると、曲線は垂直に近づきます。
その二は、第一式のc(限界消費性向)の値が大きくなると、国民所得(Y)の係数の絶対値は小さくなります。すると、IS曲線の傾きは、水平に近づきます。逆では、垂直に近づきます。
ここで、水平に近づくというのはどのような意味を持つかといえば、利子率の一単位の変化で、国民所得が大きく変化するということです。逆に、垂直であれば、利子率の影響をまったく受けないことになります。