第17回 消費者余剰
市場取引によって、消費者側に生まれる利益のことを「余剰( surplus)」といいます。
市場取引は、買い手(消費者)も売り手(企業)も得になるので参加するのです。得でなければ、合理人としては、取引をしなければいいだけです。よく、「win-win」の関係という言葉を使いますが、もともと取引をするだけで、そのような関係になっているのです。ただし、そのようにいう場合は、どちらかの利益に対して十分に配慮する(比率を考慮する)ということでしょう。
この「消費者余剰(consumer surplus)」をもっと正確に定義すると、「支払う意思があったのにも関わらず支払わなかった部分の利益」のことです。
図表を使って、説明します。
横軸には、AさんからZさんまでが(多数購入者がいることを示していますが)、支払い意思の高い順に並んでいると考えてください。
ここでは、3000万円でマンションが取引されたとします(すべての部屋は同じ値段とします)。
Aさんは、7000万円払ってもいいと思っていたのですが、実際には取引価格の3000万円しか払っていません。Aさんは、4000万円支払わなかった部分を余剰(利益)を得たとみなします。Bさんは、5000万円払う意思を持っていましたが、3000万円しか実際には払っていないので、2000万円分余剰を得たとみなします。これに対して、Zさんは、3000万円の価値しかないとおもっていたので、ぴったりと3000万円で買いました。それぞれがとくになると買ったのですから、AさんからZさんまでが購入するのは合理的判断です。
そこで、AさんからZさんまでの個々人の余剰を足し合わせたものが、消費者余剰です。図表でいえば、FEGの三角形の面積が消費者余剰になります。