第19回 総余剰とパレート最適
社会の富(利益)は、経済主体である消費者と生産者の全体で表されます。
余剰の概念を使うと、消費者余剰と生産者余剰の合計であり、それを、「総余剰(total surplus)」と呼びます(社会的余剰という場合もあります)。
図表でいうと、E点は、総余剰が最大となる点です。
社会の富が最大化していることは、社会にとってもっとも望ましい状態といえます。
この点を、「パレート最適点(Pareto optimum point)」と呼びます。
整理すると、総余剰が最大になる点が、パレート最適点(E点)なのです。図表では、FEGが消費者余剰で、GEOが生産者余剰で、FEOが総余剰です。
このパレート最適点から、生産量を増やしても、減らしても、社会の総余剰は減少します。図表では、減らした場合を示していますが、E点よりも生産を減らすと、HEIの三角形分、総余剰は、減少するのです。ここでは、総余剰は、FHIOの四角形となります。
パレート最適を定義づけると、「誰かの利益を損なうことなく、誰の利益も高められなくなった状態」のことです。
これは、資源が効率的に配分されいる状態なので、ミクロ経済学がもっとも望ましいと考える配分点(生産点)なのです。