第20回 政府の介入 規制価格
これまで、3回にわたって、余剰概念をみてきました。
まとめますと、消費者余剰と生産者余剰があり、その総計が、総余剰であり、社会全体の富の大きさでした。パレート最適点では、総余剰が最大化していました。
これは、民間部門が自由な経済活動でおこなった結果でした。
これから3回にわたって、政府がこの市場に何らかの介入(関与)をするとどうなるかを考えてみます。
この第一回目は、「規制価格」(統制価格)の問題です。政府は、いろいろな理由で、市場価格に介入しようとします。たとえば、景気が悪い場合や、急に物価が上昇した時などです。
ここでは、急な物価の上昇を抑えるために、ある財、とくに日常生活に大きな影響を与えるような財でしょうが、市場価格以下に価格を規制したとしましょう。一見、消費者にはありがたいことのようですが、その結果はどうでしょうか。
図表のように、G(市場価格)よりも、政府は、規制をかけて安い価格Jにしました。すると、生産者は、生産量を減らします。安い価格では利益が減るからです。ここでは、Q’のように生産量を減らすのです。すると、消費者もQ’しか消費できません。この場合、生産者余剰は、三角形GEOから、三角形JIOに減少します。消費者余剰は、この場合、四角形FHIJとなります。総余剰は、四角形FHIOとなり、三角形HEIほど減少するのです。
結果、政府の規制価格のせいで、総余剰は、減少することになるのです。
ここでは、低価格にしましたが、高価格にしても、同じように、総余剰は減少することになるのです。
ここで明らかになったことは、政府の価格への統制はすべて総余剰を減らす結果ということです。