第24回 外部性について
ミクロ経済学は、原則、完全競争市場を想定し、需要と供給によって、市場均衡量と市場均衡価格を決定します。それが、資源の最適配分をもたらすとみます。
ところが、完全競争市場が、成立しない場合や、成立していても市場がうまく機能しない場合が知られています。その現象や課題を、「市場の失敗」ということはすでに述べました。
そのひとつに、今回の「外部性(externality)」があります。
外部性を定義づけると、「ある経済主体の行動が他の無関係な経済主体に市場を経由することなくなんらかの影響を及ぼすこと」です。この場合、消費者による「消費の外部性」と、生産者による「生産の外部性」があります。
市場を通していないのですから、その影響は、市場では完全には制御できないことになります。
この外部性は、社会経済(周辺・近隣)にいい影響を及ぼす場合を、「外部経済(external economies)」といい、悪い影響を「外部不経済(external diseconomies)」といいます。前者の例としては、環境の整備や教育による正の効果が挙げられます。後者の典型例は、様々な公害です。市場取引とは関係なしに、たまたま近隣に住んでいるだけで負の効果を被ることになるのです。
この概念は、イギリスの経済学者、A・マーシャル(1842-1924)が定義づけたといわれています。また、市場の周りに影響を与えるので、「近隣効果(neighborhood effect)」や「漏出効果(spill-over effect)」と呼ばれることがあります。
市場を通さないので、すでに述べたように、「市場の失敗」のひとつであり、その是正のために、政府の関与やなんらかの仕組みが必要となります。
次回以降、何回かにわたって、これを論じていきます。