第52回 寡占の理論その4 売上高最大化の仮説
今回 は、「売上高最大化の仮説(hypothesis of maximization of the sales) 」を取り上げます。
これまで、 完全競争市場では、「P = MC 」で、 独占市場 では、 「MR = MC 」という利潤の最大化条件を満たすように企業は行動するとしてきました。
しかし、現実の企業は、利潤の最大化を目的に行動してい るとは限らないという見方もあります。それが、今回議論する売上高最大化の仮説です。
この仮説は、「一定の利潤を確保した前提で、売上高を最大化するように行動する」とみます。
図表では、上に凸の総収入曲線( TR )と、 下に凸の総費用曲線(TC)を描いています。その差( 黒字部分)が、 緑のπ曲線で描かれています。ここでは、一定の利潤であるπを超えている生産量を考えます。まず、Q1 は、利潤 が最大化する生産量です。利潤最大化を目的にしている企業ならば、この Q1 が生産量として選ば れます。しかし、一定の利潤を確保しながら、売り上げが最大な生産量は Q2 です。この売上高を最大化することを目的 にする企業ならば、この生産量を実現するといえます。
さらには、一定の利潤を確保したうえ で、市場シェアを最大化する企業もあるかもしれません。その生産量は、Q3 です。
寡占市場のなかでは、 数社が市場を巡って激しい競争をしているので、 売上高を最大化することを目指したり、市場 シェア( 最大生産量)を目指すことも十分 に考えられます。