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第54回 市場論のまとめ

 これまでの市場論をここで総括してみます。

 さらには、今後のミクロ経済学の考察課題をまとめておきます。

図表 市場論のまとめと今後の課題

 図表に従って、簡単にコメントしていきます。 

 第一の市場の役割や目的に関してですが、市場は、「価格の調整メカニズム」によって、「資源の最適な配分」を実現します。他の言葉でいえば、「パレート最適」な状態を作り出します。これにより、「社会の富」(総余剰)を最大化します。

 第二の市場の限界ですが、市場のメカニズムでは、所得や資産の偏在の是正は原則的にできません。そのためには、政府の関与によって、ある種、強制的に(法政策的に)、「富の再配分」をしなければなりません。その場合、「公正や公平や正義」といったものは「価値問題」なので、万人の理解を得ることは容易ではありません。

 第三は、市場論は「完全競争市場」を基本として考えました。この場合、図表のように4つの条件をすべて満たさなければなりません。一つでも満たさない時には、「不完全競争市場」となります。また、条件がそろっていても、「市場の失敗」となることもありました。その代表は、「外部性の存在」であり、「公共財」でした。

 第四は、不完全競争市場の市場形態別に、その価格付けを考えました。独占市場では、独占者は「プライスメイカー」としてふるまうと考えました。複占市場や寡占市場も価格への影響度は、強弱はあれ同様でした。また、独占的競争のように、独占性と競争性の2つの要因をもっている市場もみてきました。

 第五に、これまでの市場論では触れていないことを述べておきます。まず、これまでは「部分均衡論」を述べてきました。2つ以上の財の均衡を考えるのは、「一般均衡論」といいますが、ここでは述べられていません。今後、書いていきます。情報の「不確実性」か「非対称性」のときの議論は、「情報経済論」で展開されますが、これは、本コラムの別項「情報経済論」で述べられています。また、生産要素市場である「労働市場」の議論も今後していきます。最後に、「国際経済論」も今後の課題です。

 市場論は、以上ですが、今後は、「消費者の行動」と一部はすでに書いていますが「生産者の行動」も次回以降書いていきます。

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