第58回 等生産量曲線
今回は、「等生産量曲線(equal production curve)」を考えます。
これまでも何度も述べたように、生産者は、資本と労働を使って、生産をします。その関係は、いろいろなパターンがありますが、ここでは、資本と労働は粗い代替関係にあると考えています。資本が増えれば、労働を減らし、労働が増えれば、資本減らす関係です。
ここで、図表のQ1曲線は、等生産量曲線です。すなわち、この上にあるどの点も同じ生産量であることを示しています。Q1上のP1点とP3点は、同じ生産量です。なお、先に述べたように、P1点では、資本と労働の組み合わせは、(K1 , L1)ですが、P3点では、(K2 , L2)となります。
この等生産量曲線は、次の条件が前提となっています。
第一は、すでに述べように、原点に対して凸の形状をもち、右下がりであるということです。
第二は、上方に描かれる曲線ほど、生産量が大きいことを示しています。ですから、Q1曲線よりもQ2曲線のほうが、生産量が大きいということです。図表をつかって今一度述べると、生産要素である資本がK1量のときには、Q1曲線上の点P1では、労働量がL1でした。ここで、資本量を一定(K1)として考えた場合、Q2曲線上にあるP2点は、生産量が大きいのですから、もうひとつの生産要素である労働量がL2と大きくなければなりません。
第三は、Q1曲線とQ2曲線のように、生産量の異なる曲線は、交わらないと考えなければなりません。交わると、第二でみたことに矛盾をきたすからです。