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第64回 無差別曲線と限界代替率

 今回は、「無差別曲線(indifference curve)」の特徴と「限界代替率(Marginal Rate of Substitution: MRS)」を考えます。

 消費者は、財を購入して、効用をえますが、ここでは、2財の消費による効用関係を考えます。

 まず、無差別曲線は、その線上のどの点も、効用が同じことを示しています。図表での無差別曲線U1上の点、I1点とI2点は、A財とB財の組み合わせは異なっていますが、その組み合わせから得る効用は同じであるということです。

図表 無差別曲線

 ここで無差別曲線の性質を述べておきます。ただし、無差別曲線の形状も無数にありますが、ここでは、図表のような無差別曲線を考えています。

 第一は、右下がりで下に凸の形状をもっています。すなわち、A財とB財は代替関係であることを示しています。

 第二は、右上方にあるほうが、効用が大きいことを示しています。図表では、U1よりもU2曲線の方が、効用が大きいということです。

 第三は、それぞれの無差別曲線(効用曲線)は、交わらないということです。交わると第二の条件に反するからです。

 ここで、「限界代替率」を考えてみます。

 限界代替率とは、「縦軸の財の消費量を限界的に増加させるとき、横軸の財の消費量をどの程度減少させることができるか」(『入門ミクロ経済学』、井堀利宏)のことです。他の言葉で言い換えれば、「無差別曲線上のある点での接線の傾き」のことです。

 これを定式化すると、

 MRS = ΔB / ΔA ・・・・・・・・①

 です。

 また、これは、A財の限界効用(MUa)とB財の限界効用(MUb)の比と同じになっています。 ②式はそれを示しています。

 ΔB / ΔA  = MUa  / MUb  ・・・・・・②

 

 I1点での接線の傾きは、I2点での接線の傾きよりも、角度が大きくなっています。それは、I1点では、B財の消費が大きく、その分、B財の効用が逓減していることを意味しています。ある財の消費を増やしていくと、この限界代替率は逓減します。これを「限界代替率逓減の法則(law of diminishing marginal rate of substitution)」と呼びます。

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