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第73回 混合戦略とミニマックス戦略

 ゲームの理論の最後として、混合戦略とミニマックス戦略を考えていきます。

 「混合戦略(Mixed strategy)」とは、「プレイヤーが確率的に行動を選択する戦略」であり、対義語は、「純粋戦略」です。利得が、確実ではないということは、より現実世界の選択に近づいたといえます。なぜなら、この世の中の選択は、不確実性がつねに存在するからです。

 この混合戦略では、プレイヤーが、「期待利得(expected payoff)」を大きくする行動に出ると考えます。なお、ここでの利得は、効用でも利潤でも構いません。

 自身の期待利得を最大にする混合戦略を、「最適反応戦略(Optimal reaction strategy)」と呼び、すべてのプレイヤーが最適反応戦略であるような組を、「混合戦略ナッシュ均衡(Mixed strategy Nash equilibrium)」といいます。

 つぎに、ミニマックス戦略とは、すでにお話したゼロサムゲームにおける主要な戦略のひとつです。今一度、ゼロサムゲームを述べると、2人のプレイヤーの利得と損失の合計がつねにゼロになるゲームのことです。

 「ミニマックス戦略(Minimax strategy)」とは、「自身の損失が最大なもの(マキシマム)を比較して、そのなかで損失が最小(ミニマム)のものを選択する戦略」のことです。

 これは、損失が最悪なものを回避しようとする行動といえます。日常の意思決定でも、もっとも最悪なケースを回避するようなことは多く見かけます。

 これはゼロサームゲームですから、「自身の損失を最小限にする行動」を図る「ミニマックス戦略」と、「相手の利得を最小限にとどめるように行動」する「マックスミニ戦略(Max Mini strategy)」は表裏の関係にあり、これを合わせて、「ミニマックス定理(Minimax theorem)」と呼びます。

 まとめますと、混合戦略は、確率概念を導入したゲーム理論であり、不確かな利得を最大化しようという戦略です。他方、ミニマックス戦略は、最悪の結果を回避する行動と言えます。この2つの戦略は、あわせて議論することもできます。

 次回からは、ミクロ経済学での国際経済論(貿易論)を議論します。

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