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マクロ経済学第9回 貯蓄関数

 これまで、消費関数を考えてきました。その理由は様々ですが、所得のうちで行われます。すると、貯蓄は、所得から、消費額を引いたものといえます。

 残余の部分という表現は消極的定義ですが、もう少し、貯蓄の積極的理由を述べてみたいと思います。

 主に、3つの動機(理由)が考えられます。

 第一は、老後のための貯蓄(hump saving)です。すでに述べたライフサイクル論でも、若いときに貯蓄をして、それを退職後に、生活の資金にあてるという見方です。この場合でも、自身の寿命や物価は不確実なので、貯金をすべて使い果たさないようにするのが普通です。不確実性が存在する限り、合理的な行動といえます。

 第二は、子孫繁栄のための貯蓄(saving for posterity)という見方もあります。自分の延長が子孫だとすると、子孫のために富を残すことは考えられます。この中には、子孫から尊敬されたいという気持ちも入っているかもしれません。

 第三は、法人留保(surplus corporate saving)で、個人に分配することなく、事業の将来のために、積み立てておこうという考えです。大きな会社は、個人と法人ははっきり分離されるでしょうが、中小企業や小規模事業者は、経営者と法人の資金の貯蓄はあいまいなことがあります『経済学小辞典(岩波)より参照』。

 ここで、「貯蓄関数(saving function)」を定式化してみます。

 第一式は、所得関数です。所得は、消費と貯蓄からなるとここではみています。第二式は、それを変形したものです。第三式は、消費関数で、基礎消費と限界消費性向と所得をかけたものの和とみます。第三式を、第二式に代入すると、第四式が導けます。第五式は、さらに、両辺をYで割ったもので、平均貯蓄性向を表しています。

 今度は図表から見てみます。図表の赤い線が貯蓄関数を表したものです。貯蓄関数は、切片が、-c0から、始まります。これは基礎消費のマイナス部分となります。ここで、「平均貯蓄性向(average propensity to save)」は、所得が増加すると、逓増していきます。なお、所得が一単位増加することによる「限界貯蓄性向(marginal propensity to save)」は、(1-c)で表せます。

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