マクロ経済学第19回 資本ストックと投資
前回は、投資関数として、個別企業の投資量の決定を考えました。
企業数が、数十万社から数百万社となれば、個別企業の場合と異なり、限界効率曲線が曲線(直線)となります。
ここでは、前回と少し用語は変わりますが、意味は前回と同様です。
今回は、限界費用と資本の限界生産性という概念で、資本ストック(ストック形成)を説明します。
「資本の費用(capital cost)」とは、資本を一単位使用するときの追加的費用のことです。この費用は、「資本減耗」と「利子」で構成されるとみています。「資本減耗(capital depletion)」とは、製造機械や設備が経年変化で、劣化、陳腐化して、その実質的価値が下落することです。下落率が大きくなると、費用が大きくなるとみます。これに対して、「利子(interest)」は、資本ストックを形成するために必要な資金の支払い利子のことです。
つぎに、「資本の限界生産性(marginal productivity of capital)」とは、資本を一単位増加させるときの生産物の増分をいいます。
図表の横軸は、資本ストックです。縦軸は、資本の費用および資本の限界生産性を表しています。資本の費用は、資本減耗(d)と利子率(i)の合計で表されています。ここで、利子率が低いときには、資本ストックはkとなります。それに対して、利子率が上昇すると(d+i’)、資本ストックはk’に低下します。
このように、資本費用の高低によって、資本ストック量が左右されるということです。
ここでは、図表には表されていませんが、資本の限界生産性が上昇すると、図表の赤い曲線が、右上方にシフトします。この場合は、同じ資本費用(資本コスト)でも、資本ストックは増大することになります。