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マクロ経済学第27回 貨幣需要

 いかなる理由で貨幣を欲するのかを考えるのが、今回の貨幣需要の議論です。

 標準的なマクロ経済学のテキストは、ケインズ理論を中心に書かれていますので、ここもそれにならいます。

 ケインズは、貨幣需要の動機は3つあるといい、ひとつが、「取引動機(transaction motive)」で、2つ目が、「予備的動機(precautionary motive)」で、3つ目が、「投機的動機(speculative motive)」です。古典派は最後の投機的動機を認めていません。

 取引動機とは、国民が様々な取引をするときに貨幣が必要となるので、それを保有すると考えます。この場合、国民所得(経済)が拡大するにつれて、貨幣需要は高まります。よって、国民所得と流動性の高い貨幣需要は増加関数となります。

 つぎに、予備的動機は、個人や企業において、事件や事故はどうしても避けることができないので、不測の事態に備えて、予備費として保有しておこうという動機のことです。この場合、将来の不確実性が大きいと予想した場合は、予備費は大きくなり、そうでないと予想できる場合は、小さくなります。

 投機的動機は、貨幣保有動機や資産保有動機とも呼ばれるもので、利子率との兼ね合いで、貨幣需要が決まるとみます。利子率に依存して、貨幣需要が決まるというものです。利子率が高いときには、債券を保有していれば、利子を多く得られますので、債券の需要は高まる半面、貨幣需要は下落します。これと反対に、利子率が低いときには、債券を持っていても多くの利子が得られないので、危険な資産である債券を手放して、安全な貨幣を保有しようとします。すなわち、貨幣需要が高まるといえるのです。

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