マクロ経済学第28回 貨幣数量説
前回のケインズ派の貨幣需要は、国民所得の大きさと利子率に依存して決まると考えました。
これに対して、古典派経済学の人々は、国民所得の大きさのみによって、貨幣需要は決まると考えました。
その説を、「貨幣数量説(quantity theory of money)」といいます。
その中の代表的なものに、I・フィッシャー(Fisher, Irving; 1867-1947)の「取引数量説(transaction theory)」があります。
その説を定式化します。
まず、単位期間内の取引総量をT,物価水準をP,流通貨幣量をM,流通速度をVとします。Tは、財市場の期間内の総数量を表し、流通速度とは、期間内に何回貨幣が回転したかを意味します。この4つの要因によって、
MV = PT ・・・・・①
という式が成り立つと考えます(これを交換方程式と呼びます)。左辺は、期間内での貨幣総量を意味し、右辺は、取引総量に物価をかけたもので、経済全体の取引規模を示します。
ここで、Vは、一国の商慣習や経済慣行で決まり、短期的には一定とします。また、取引量もすぐには変化しないので一定とします。すると、
M = P ・・・・・・・②
という関係が見いだせます。この意味は、流通貨幣量は、物価と比例するということであり、「古典派の2分法」とよばれるものです。