マクロ経済学第36回 金利政策
中央銀行が採用する金融政策のひとつが、金利政策です。
「金利政策(interest rate policy)」を定義すると、「中央銀行が市中銀行に対する貸出金利(公定歩合)を上下に変更することによって、市中銀行の貸出金利」などに影響を与えて、「通貨量を調整する金融政策手段」のことです(『日本大百科事典』より)。
いいかえれば、中央銀行の貸出金利は、「政策金利(bank rate)」のことです。
この効果には2つあると考えられています。そのひとつは、「コスト効果(cost effect)」で、直接的な借り入れ負担のことです。市中銀行は、金利の上昇によって、余分にコストを支払うからです。いまひとつは、「アナウンスメント効果(announcement effect)」で、中央銀行が金利の上げ下げについて発言することによって、内外の金融市場に間接的な影響を及ぼすことです。このアナウンスメント効果は、経済政策のみならず、人間の基本的心理への普遍的効果のひとつといえます。
金利政策は、景気が過熱しているときには、それを抑えるために、金利を上げます。すると、マネーサプライが減少するので、物価の上昇を抑えられます。これとは反対に、景気が冷え込んでいるときは、金利を下げ、マネーサプライを増加させます。景気を刺激してデフレからの脱却を誘導します。
ところで、2006年から、公定歩合は、「基準割引率および基準貸付率」に変更されましたので、公定歩合という言葉は使用されなくなりました。
1994年の金利自由化によって、公定歩合と預金金利の直接的連動性がなくなったことがその理由の一つです。