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第21回 リスクと国民性

 人間は、本来、「リスクを回避する生き物である」と定義づけることもできるかもしれません。

 現在の人類の直接の先祖であるホモサピエンスが、20万年前に生まれたとされていますが、当時を考えてみると、人類は危険な生活環境のなかで暮らしていたといえます。人間にとって、小動物は捕食対象ですが、大型肉食獣からすれば、格好の獲物だったといえるでしょう。その過酷な弱肉強食の時代のなか、生き残るには、危険の素早い察知が欠かせなかったと考えられます。ほかの言葉でいえば、リスクへの対応力こそが生存可能性を高めたのです。

 それから、20万年の時を経て、現代人は、考えられないくらい安全・安心な社会になかに生きているといえます。

 そこで本題ですが、国民や民族によって、リスクに対する理解・評価が異なるのだろうかということです。

 田中洋・清水聰編『消費者・コミュニケーション戦略』(有斐閣、2006)のなかで、Hofstede[2001]の研究結果が出ていますので、それを援用して考えてみましょう。

 彼は、50各国程度のIBM社員の労働価値意識調査の結果をまとめています。

 それによると、「不確実性の回避(uncertainty avoidance)」の指数で、日本は、92点で、米国は、46点、シンガポールは、8点、中国は、30点などとなっています。お国によって相当点数が異なることが分かります。日本人は、「未知の状況に対して脅威を感じ、そのような状況を避けようとする」度合いが高い国民性といえます。なぜそうなのかは、いろいろとかんがえられますが、皆さんも考えてみて下さい。

 その傍証ですが、日本人の各種の保険加入率は高いそうです。

 情報経済論的には、日本人は、「リスク回避者」であるといえます。

 次回は、これを定式化してみます。

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