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マクロ経済学第38回 LM曲線の導出

 LM曲線は、「貨幣市場(money market)」(金融市場)が均衡するときの「国民所得」と「利子率」との関係を示した曲線です。

 ここで、貨幣市場が均衡する場合を考えますので、貨幣供給(M)と貨幣需要(L)は、

 M = L ・・・・・・・・①

 となります(ここでは物価を考えない場合)。

 では、3つの関係性によって、LM曲線を導出しましょう。この導出には、様々な表現がありますが、ここでは3つの関係性から論じます(図表1、2,3がそれを示す)。

 ここの議論は、本コラムマクロ経済学第27回の貨幣需要の話です。

 図表1のL1は、取引動機(予備動機も含む)による貨幣需要のことで、L2は、投機的動機にもとづく貨幣需要のことです。この2つの需要は、完全代替の関係として示されます。よって45°線となります。

 図表2は、国民所得と取引的動機にもとづく貨幣需要の関係を示しています。

 国民所得(GDP)が大きくなると、当然に、取引は拡大しますので、貨幣需要とは、正比例の関係となります。

 図表3は、利子率と投機的動機にもとづく貨幣需要の関係を示しています。

 利子率が高いと投機的動機による貨幣需要は小さく、利子率が低いとその貨幣需要は大きくなります。よって、利子率と投機的動機による貨幣需要(L2)は、反比例の形となります。

 

以上の3つの関係から、国民所得と利子率との関係が導出されます。これが図表4のLM曲線の導出となります。

ここで、まとめると以下のようになります。

 国民所得が増えると、取引動機にもとづく貨幣需要は増大します(図表2)。しかし、貨幣供給が一定(中央銀行の政策決定)とすれば、投機的動機による貨幣需要は減らざるを得ません(図表1)。この貨幣需要が減る理由は、利子率が高まることです(図表3)。図表4でいえば、国民所得Y1がY2に増加すれば、利子率i1は利子率i2になります。

よって、LM曲線は、国民所得と利子率の関係を示した曲線ですので、それは右上がりの形状になるといえます。

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