マクロ経済学第41回 拡張的財政政策
前回のIS-LM分析を使って、財政政策の効果を考えていきます。
「財政政策(fiscal policy)」とは、「政府支出や税制を操作することによって、経済状況や所得分配の状況を操作する政府の政策のこと」です(中谷巌『入門マクロ経済学』より引用)。なお、積極的な財政政策の出動を、「拡張的財政政策(expanded ficial policy)」と呼びます。
その政策には、主に4つあると考えられており、第一は財政支出政策であり、第二は租税政策であり、第三が公債政策であり、最後が財政投融資政策です。
今回は、財政支出政策と租税政策の効果を考えます。
本コラムマクロ経済学第14回でお話しした、均衡予算の場合の乗数効果は、IS曲線の移動としてあらわれます。結果、国民所得が増加する効果のことです。
第一式は、均衡予算における乗数効果を表した式です。
ΔY = -c/(1-c)ΔT + 1/(1-c)ΔG ・・・・①
第一式の左辺は国民所得の増加を示し、右辺の第一項は、増税(△T)の乗数を示し(マイナスの効果)、第二項は、政府支出(△G)の乗数(プラスの効果)を示しています。ここで、均衡予算とは、△T = △Gですから、その場合の財政投資効果は、第二式となります。
△Y = 1・△G ・・・・・・・・・②
増税がない場合は、大きな財政効果がみられるものの、増税分で政府支出を賄った場合は、効果が大きく減じるものの、なお一定の効果があることを示しています。