マクロ経済学第84回 黄金律
ソローモデルの経済成長では、資本装備率(資本-労働比率)が増加すると、一人当たりの生産高f(k)も増加しました。しかし、その資本装備率が大きくなるにしたがって、その成長の伸びは小さくなります。なぜなら、限界生産力逓減の法則が厳然と存在するからです。
図表1の横軸は、一人当たりの資本装備率(資本-労働比率)で、縦軸は、一人当たりの所得(生産)を表しています。
ここで、長期均衡は、k**の位置であり、そこで定常状態化することは前回お話ししました。
これに対して、一人当たりの生産高を示すf(k)をみると、自然成長率との差は、一人当たりの消費cを意味します。この場合、このcが最大化するところはどこでしょうか。
それは、k**のところです。理由は、nk線の傾きはnですが、nとf(k)との接線が平行になったときにその差が最大になることは知られているからです。
労働装備率が、ひとりあたりの国民の消費を最大にするということは、国民の効用を最大化しているともいえるので、望ましい状態といえます。
よって、これを、「黄金律(Golden Rule of Accumulation)」といいます。