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AI経済学 第8回 外爆発 

 前回は、AIまたはICTによる人間拡張についてのお話しでした。

 今回は、いわば、人間活動の産業革命以来の拡張の話です。

 およそ250年前にイギリスで起きた産業革命は、自動生産とそのためのエネルギー革命およびネットワーク革命(輸送革命)でした。蒸気機関が発明されて、動力源としての蒸気圧によって、諸機関が飛躍的に生産性を高めました。

 まずは、自動織機によって、織物が自動的に編まれるようになりました。それまでの職人の技術と仕事が、機械にとって代わられました。その原材料は、インドからの綿花を大量に運ぶために、上記汽船が生まれ、内陸では、汽車が生まれました。その後は、電気エネルギーが使われ、電力網が出来上がりました。さらに、情報通信網が電話通信を可能にして、いまのインターネット網(World Wide Web)が出来上がりました。

 P・コトラーによると、自動生産機械ができるとともに、ネットワーク網が完備されることが、産業革命が成功する要諦であると喝破しました。この考え方からすると、前回の人間拡張も、インターネット網との接続によって価値が倍加するといえるかもしれません。たしかに、IoTは、その方向を目指しています。

 今言われている第四次産業革命は、それをさらに推し進めようということです。

 前回の話は、いわば、「内爆発(implosion)」でしたが、もともとは「外爆発(explosion)」というべきものです。

 これによって、世界大に情報や知識が一瞬にして広まることになりました。

 これは、経済学の言葉でいうと、「外部性(externality)」といえます。外部性に関しては、本コラム・ミクロ経済学でお話ししていますが、個々人の生産活動の生産性を高める役割も果たしています。

 ただし、外部性の効果測定は難しく、かつ正の外部効果とともに負の外部効果もあり、打ち消しあっていると考えることができます。勿論、正の外部効果は高め、負の外部効果は排除するように政府は政策をとりうるのですが、測定が難しいこともあいまってなかなかうまくいきません。

 経済成長に関する成長会計の中でいえば、TFPに多くは含まれるのでしょうが、人的資本にも物的資本にもなんらかの影響は存在していると考えられます。

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