マクロ経済学第29回 貨幣数量説その2
前回のケインズ派による貨幣需要は、国民所得の大きさと利子率に依存して決まると考えました。
これに対して、古典派経済学の人々は、国民所得の大きさのみによって、貨幣需要は決まると考えました。
その説を、貨幣数量説といいましたが、その中に、前回の「取引数量説」があり、さらに、今回の「現金残高数量説(cash-balance theory)」があります。
これは、別名、ケンブリッジ方程式とも呼ばれています。
その説を定式化します。
MV = PT ・・・・・①
第一式は前回出てきた式ですが、このTは、Yとほぼ同じであると捉えると、TをYに置き換えられ、第二式のようになります。
MV = PY ・・・・・②
ここで、第二式の両辺をV(貨幣流通速度)で割ると、
M = 1/V・P・Y ・・・・③
となります。
ここで、k = 1/V (kのことをマーシャルのkと呼びます)を、第三式に代入すると、
M = kP・Y ・・・・・④
となります。
kやP(物価)は、すぐには変化のないものと考えれば(定数扱いとすれば)、第四式によって、貨幣需要(M)は、名目国民所得(PY)と比例すると考えられます。