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マクロ経済学第89回 ローマーモデルその2

 今回もローマーモデルの理解をさらに進めようとしていますが、「新アイデアを探求する人々の対人口割合が恒久的に増加した場合に、世界の先進経済に何が生じるだろうか」(ジョーズン上掲書引用)という問いにこたえようという理論的展開です。

 R&Dや教育に対する政府の補助金はいかなる意味を持つかなどが具体的な問いといえます。日本政府の教育研究部門への投資はどうあるべきかの示唆を与えるものです。

 第一式のSRは、「R&D要員の人口に占める割合」を示しています。人口のなかで、研究開発者の人数が増加するのですから、それ以前に比べて、LA/Aの値が上昇します。しかし、全体の人口は変わらないので、また、均等成長経路に従って長期的にはこの値は低下する(回帰する)とみています。

 第二式は、アイデアにおける一人当たりの生産における定常状態(左辺)は、均等成長下では一定ということを意味しています。右辺は、分子に、一人当たりの資本で、分母に、「人口成長率+アイデア蓄積の成長率+アイデアの減耗率」です。それに、研究部門の労働者のシェアがかかっています。

 第三式は、分子には、「アイデア発見率×研究要員人口のシェアによる人数」で、分母が、アイデアの成長率です。言い換えると、アイデアの成長率1%は、どれだけのアイデアを生み出す基盤を形成しているのかということです。

 この第三式を第二式に代入すると、第四式ができます。この式全体は、均等成長経路では、一人当たりの産出は、人口に比例するということを意味しています。右辺は、第一に、資本の増加が産出を大きくするということであり、第二は、SR要因が入っているので、人口における研究開発要員の割合の変化が産出に影響を与えることを意味しています。

 総括すると、経済成長においては、資本形成の増加が欠かせず、そのためには、アイデア(知識)を創出するための研究開発者の人口増加が重要であるということです。

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