第1回 経済学の基礎認識
経済学は、様々な経済的課題を解決する理論や手法を考察します。
その経済的課題の根本は、何に起因しているのでしょうか。
経済学は、資源の「希少性(scarcity)」に着目します。
まず、個人においてはどうでしょうか。もちろん、裕福な方で、まったくお金には不自由しないという方もいらっしゃるでしょう。そのような方は、まさに、経済問題がないといえます。何にいくら使うかどうかの思案がまったくいらないからです。しかし、たいていの人々は、限られた資産や所得しかありません。その限られた資源(家計)で、最大の効用(満足)を得ることを考えるのですから、いろいろと考えなければなりません。それが、経済的課題への対処であり、選択の問題です。
企業はどうでしょうか。企業も、限られた希少な資源(資金)を使って、最大の利益を生み出そうとしています。無限に資源(資金)があれば、もともと経済学の知見を借りる必要もないのです。何をどう生産し、どう流通させるのか、考えなければならないことが山積みです。
政府はどうでしょうか。日本政府は、1000兆円以上の長期債務を抱えています。毎年の予算も、大量の赤字国債の発行で穴埋めしています。毎年の租税では賄いきれないのです。一方、歳出は、少子・高齢化にともない、社会保障関係費用が増大し続けています。まさに、限られた予算で、日本国民の様々なサービスを供給しています。政府にしても、限られた国家予算で、最大の公共的福祉を実現しようとしているのです。
すべての経済主体は、希少な資源を用いて、それぞれは最大の効用(利益・便益)を実現しようとしています。
経済学は、その課題解決のための知見や知識の集合といえます。