第38回 平均費用概念
前回は、完全競争市場における費用概念うち、「固定費用(FC)」と「可変費用(VC)」をみました。
今回は、「平均費用(average cost)」概念を考えます。
平均費用とは、「そのコストを、生み出された生産数で割ったもの」です。ほかの言葉で言い換えると、「1個当たりのそれぞれの費用」のことです。
これを図示したのが下図表です。
まず、「総費用(TC:total cost)」は、固定費用と可変費用を合わせたものです。図表では、可変費用を上方にシフトさせて、固定費用のうえに乗った形となっているものです。
式で表すと、
総費用(TC)= 固定費用(FC) + 可変費用(VC)
となります。
ここで、上記式を生産量Qで割ると、
TC / Q = FC / Q + VC / Q
AC = AFC + AVC
となります。
ACとは、平均費用のことで、総費用を総生産量で割ったもので、1個当たりの費用のことです。これに対して、AFCは、平均固定費用のことで、一個当たりの固定費用を示し、AVCは、一個当たりの可変費用のことです。
図表を使って説明すると、図表中のαは、平均可変費用を表し、βは、平均固定費用であり、γは、平均費用を表しています。
平均概念のそれぞれの費用は、その形状より、変化が異なっています。
平均費用は、生産量を増やしていくと、あるところまでは低下していきますが、底からまた上昇していきます。平均可変費用も同様です。これらに対して、平均固定費用は、生産量の増大につれて一方的に減少していきます。
次回は、分かりづらい限界概念をつかった費用(限界費用)を考えます。