note

日々の研究を記します。

  1. HOME
  2. ブログ
  3. チカ .K
  4. 第6回 レモン市場とは

第6回 レモン市場とは

 売り手と買い手の間には、「情報の非対称性」が存在するとすでに述べました。この場合は、普通は、売り手の方が買い手よりは、より多くの情報をもっていると考えられます。とくに、個別の企業(売り手)のもっている商品は、優良品か不良品か、またはその質の程度を知っているでしょう。ただし、企業自身ですら、気づいていないこともあります。

 この場合、買い手は、どのような購買行動や意思決定をするでしょうか。劣等品と思われるもので、その価格が随分と安い場合は、購入されるでしょう。なぜなら、もともと劣等品と認識しており、その価格も低いからです。これに対して、優良品といわれ、高価格な場合はどうでしょうか。それを信じて、実は、劣等品(不良品)だった場合、たいへんな被害を被ることになります。そこで、優良品の購入は、それがそうであることが十分に証明されない限り、購入されないことになります。すなわち、「買い控え現象」が起きるのです。

 売れないものを売っても、不良在庫が積みあがるだけですから、業者も、優良品を仕入れようとはしなくなります。

 結果、市場は、すべて不良品(劣等品)となる現象が生まれます。このような市場をアカロフの「レモン市場」といいます。なお、英語では、優良品のことをピーチといい、不良品(劣等品)のことをレモンと呼びます。

 これは、別名、「グレシャムの法則」によって生まれた市場といえます。グレシャムは、「悪貨が良貨を駆逐する」といいました。貨幣市場の場合は、良貨は手元に残され、悪貨が市場に出回ることになります。ほどなくすると、貨幣市場は悪貨ばかりとなるのです。

 すべての中古市場にこれが起きていると、すべての中古市場は、レモン市場になります。しかし、現実の中古市場は、必ずしもレモンばかりではありません。優良品や劣等品が混在しつつ、ビジネス上の混乱もあまりありません。

 ということは、このレモン市場化を防ぐなんらかの制度や仕組みがうまくいっているということでしょう。

 では、それはどのようなものかを後日考えてみましょう。

関連記事