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第6回 弱い紐帯の強さの理論

 前回のスモールワールド性をさらに補完する理論が、M・グラノベターの「弱い紐帯の強さ(Strength of Weak Ties)」の理論です。これも前回の理論と同じような時期に生まれたものです。社会的ネットワークの理論の系譜のなかにあります。

 彼は、「あまり知らない場所で就職先を探すときに、誰に相談したら有効であったか」を調べたのです。普通、大事な相談ごとは、「強いつながり」のある人々でしょう。具体的には、家族や職場の同僚や無二の親友かでしょう。強いつながりがあるので、親身なって相談に乗ってくれそうだからです。しかし、結果的には、相談の役に立ったのは、あまり絆の強くない人だったのです。異なる職業の人や、あまり普段は接触しない人だったのです。

 なぜ、弱いつながりの人々の方が役にたったのでしょうか。

 これもある意味、当たり前のことです。強いつながりのある人々は、時間的および空間的に近い人々です。仕事も同じような人々です。そのような、いわば同類の人々に聞いても、別の場所、別の職業のことは分からないでしょう。

 外の世界のことは、外の世界にいる人に聞くのが一番です。

 これからいえることは、広い物理的世界のなかで、スモールワールドを作り出すのは、少数の弱いつながりの人だということです。または、ランダムな弱いネットワークといいかえてもいいのです。

 私たちは、ついつい、身近で似た者同士と群れることが多いのです。それは、原則的には、強いつながりが、日々の生活には役に立つからです。または、情報の対称性があるので、気を遣う必要がないからです。和気あいあいとしたぬるま湯の世界です。しかし、もっと大きな世界のビジネスを展開しようとすると、やはり弱いが遠くのネットワークを利用すべきです。そのためには、時々は、見知らぬ人々や職業が異なる人々との交流が役に立つと考えられます。

 ネット上のSNSは、このような働きがあると大いに推奨されることがありました。

 結果、大きな効果があると喧伝されるほどでもないのが現実でしょう。

 面倒くさいし、コストもかかりますが、リアルの交流会、勉強会、研究会、イベントに時々は参加することがもっとも有効ではないかと思われます。ここの含意でいうと、最初は、偶然の出会いですが、リアルな接触は、将来のつよい絆に変わるともいえます。

 SNS上の友の数を競うことの無意味さもここに起因しているでしょう。

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