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第7回 シナジー効果とワナ

 ネットワークの効果を考えるときに、まず最初に頭に浮かぶのが、「シナジー効果(synergy effect)」です。

 シナジー効果とは、「相乗効果」のことで、「複数の企業がアライアンスをすることによって有利に事業が展開される場合や、一つの企業内の別の事業部門が協働することで、やはり有利に事業が展開される」場合にみられる効果をいいます(ASCII.ipデジタル用語辞典)。

 ほかの言葉で言い直すと、「Aという経済主体(個人)がBと何らかの関係性をもつことによって、新しい価値が生み出せれば、シナジー効果があった」といえます。とにかく、別主体が結び付くこと(程度の差は置いておいて)で新しいモノや価値やコスト削減が生み出せれば、経済効果があったといえるのです。

 この場合、「ネットワークの経済(Network Economy) 」が発生したという言い方もあります。

 現今、先行きの不安なVUCAな時代ですし、生産資源が相対的に余っているなか、ガチンコの価格競争では、双方が疲弊してしまいます。

 そこで、なんらかの「アライアンス(提携)」をすることで、多くの主体が潤えば、悪い話ではありません。ただし、アライアンスという名のカルテルや談合は公正取引ではないので、監視が必要です。

 このシナジー効果のなかには、新しい付加価値の創造という面と、コスト削減という面があります。前者は、それぞれの企業の技術やコンテンツやアイデアを持ち寄って、新しいモノを生み出すことに役立つのです。後者は、資源を持ち寄って、資源の削減を図ろうとするものです。それらは、未知なビジネスに対して、リスクをヘッジするという意味もあります。

 このように、別主体間の協力は、原則として、ポジティブ効果を生みますが、そうでないことも多々あることに注意が必要です。または、まったく何も生み出さないこともあります。

 すべてのものには、光と影があるのです。

 ここでは、「シナジーのワナ(trap of synergy)」と呼ばれる現象があることを指摘します。

 人間は、人間らしい存在であることは、行動経済学がつとに指摘しますが、ここでも「人間だもの」の負の面が現れます。

 人が協力をして、多くの人々が参加するようになると、かならず、フリーライド(ただ乗り)現象が生まれます。自分がやらなくても、誰かがするだろうという依存効果です。さらには、企業風土や価値観が異なる企業の提携や合併などでは、主導権争いや権力闘争や抗争が生まれます。足の引っ張り合いも生まれます。

 ようは、1+1=2ではなく、2未満の成果しか生まれなくなることもあるのです。

 ここでみるように、シナジーは、正と負の両面があり、それは背中合わせでもあります。最初はメリットばかりが目につきますが、徐々に、デメリットが露になることも多いのです。

 

 

 

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