マクロ経済学第32回 ハイパワードマネー
「ハイパワードマネー(high-powered money)」とは、中央銀行である日本銀行が供給する通貨のことです。それは、預金通貨と日銀当座預金で構成されます。さらに、他の言葉で言い換えると、日銀の民間に対する保有預金といえます。
これを定式化すると、
H = C + R ・・・・・・・①
H:ハイパワードマネー C:民間部門の保有現金総額 R:法定準備金
また、貨幣供給量(M)は、
M = C + D ・・・・・・・②
D:民間部門の保有預金総額
となります。
第二式を第一式で割ると、
M/H = ( C+D) / (C+R) ・・・③
右辺の分子と分母を、Dで割ると、
M/H = (C/D + 1) / (C/D + R/D) ・・・・・④
ここで、C/Dは、民間部門の現金預金比率を表し<c>とします。
また、R/Dは、法定準備率を表し<r>とします。
すると、
M = (c +1) /(c + r)・H ・・・・・・・⑤
となります。
ここで、Hの係数を、信用乗数と呼びます。
これは、ハイパワードマネーは、マネーサプライを増加させるということです。
なお、ハイパワードマネーは、「マネタリーベース(monetary base)」や「ベースマネー(base money)」などと呼ばれることもあります。