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AI経済学 第3回 学的アプローチ

 AI(人工知能)の発想は、古代ギリシャの頃からあったといわれています。

 その後は、近代西洋の合理主義では、「機械主義(machinism)」が唱えられ、人間も機械も同じメカニズムという考え方もありました。

 その後、SF小説としてよく引き合いに出されるのが、ロボットです。

 それは、あくまでも科学としての学問対象ではありませんでしたが、前回でてきたダートマス会議後は、まさに、いまにつながるAI論になりました。ただし、その発想や思考の背景には、いまも機会主義的世界観があるようにも思えます。

 その会議に参加した研究者は、計算機科学者や認知心理学者や情報工学者などです。ということは、AIは、「コンピュータ科学(Computer Science)」と「認知科学(Cognitive Science)」の融合した学問分野として最初から出発したといえます。

 ここでは、認知科学からAIにつながるアプローチを考えてみます。

日本認知科学会の植田一博氏の解説(HP上)によると、「認知科学」とは、「情報処理という視点から、生体(特に人)の知の働きや性質を理解する学問」であるといいます。そして、「人工知能といわば双子の学問として成立した」と書かれています。

 そこで、まずは、「認知科学」の定義をいろいろな辞書からみてみたいと思います。

 認知科学とは、「人間の知覚、認識、思考などの知的機能のしくみを、心理学、計算機科学などの様々な分野の視点から研究する科学である」という定義があります(『ASCII.jp』より引用)。

 また、「人間やその他の生物の認知機構を対象とする科学」であり、「神経科学、人工知能、哲学、心理学、言語学などの多方面にかかわる総合的・学際的科学」というものもあります(『デジタル大辞泉』より引用)。

 さらには、「記憶や思考などの人間の知的な活動を解明あるいはコンピュータ上にモデル化することを目指した学際的な研究分野」というのもあります(『ブリタニカ国際大百科事典』より引用)。

 これらを総合すると、まずは、認知科学とAIとが学問的に極めて近い関係にあることが分かります。さらに、人間の知覚や認識や思考などの知的振る舞いを学際的に理解し、シミュレートしようという考えであることが分かります。

 今回の定義からみたように、AIが人間の知的活動のメカニズムの解明とそのソフトウエア化である(実体化である)と考えて、経済領域のほうに話を移すと、人間のあらゆる労働に必要な知的能力の代替または拡張が可能になるということです。これに、アクチュエーター(物理的作動機械または操作手段)が一体化すると、いわゆる「ある程度の知的活動を伴ったロボット」が出来上がります(一部の能力では人間の能力の飛躍的向上も)。これは、AIが単なる情報処理のソフトウエアから、生産装置・機械になることを意味します。

 まとめると、情報処理装置という面と生産装置という面があり、その広範な企業活動への導入は、これまでとは別次元の生産を実現する可能性があるということです。

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