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第4回 情報の本質を知る

 第1回の当コラムで、情報の定義を簡潔に考えました。そこでも述べましたが、情報は、学問領域、理論、もっといえば、課題ごとに、その定義や意味や有用性が異なるといえます。

 たとえていうと、法学において、「法にはじまり法に終わる」という言い方があります。釣りですと、「フナに始まりフナに終わる」というのもあります。情報諸科学では、やはり「情報とは何か」でしょう。そこで、何度もいろいろな角度・視点から、データ、情報、インフォーメーション、知識、インテリジェンス、というワード(概念)を考えながら、AIなどの応用の可能性を考えていきます。

 話は飛びますが、昨日、ブラックホールが撮影されたというニュースとその映像には感動しました。百年前に、理論的に予想されていた存在(現象)が、直接的な映像ではないにしても、視覚化されるというのは驚きです。宇宙物理学(宇宙論・天文学)をされている方は大変に素晴らしい仕事されていると思います。それに引き換え、情報経済論などはどうどう巡りのようで寂しいのですが、ボヤキは置いといて、アリのようにすすめていきます。

情報の特性を考えることは、情報産業や情報関連企業や情報を活用したビジネスの方略や構築の仕方や、ICTやAIの応用による価値創造やコスト削減の基礎知識となりますので、簡潔に、述べてみます。

 その第一は、情報の「無体性」(無形性)です。英語でいえば、intangible(インタンジブル)です。重さや形がないので、大規模な生産手段も必要なく、輸送コスト、保管コストもきわめて低いのです。本当はゼロではないのですが、インターネットによるコンテンツの転送コスト(伝送コスト)は、限界費用(marginal cost)がゼロといいます(限界コストは追加的に1単位生産するコスト)。

 第二は、「価値の変動性」です。情報の価値は、大げさにいうと、刻々と変化します。たいていは、時間軸に沿って劣化していきます。結果の出る前の予想は意味があっても、結果後にはまったくの無意味(無価値)となることもあります。株価予想や馬券予想などは、結果後はまったく意味がないでしょう。映画などのコンテンツでも、公開後には徐々に観覧料(視聴料)は下がります。

 第三は、「主観的な価値性」です。第二と異なるのは、個人によっても、その価値が異なるということです。Aさんの好きな映画や小説やコンテンツとBさんとでは大いに好みが変わるでしょう。それぞれに、興味関心が異なるので、それに合わせて、その人にとっての価値は変わります。そこで、興味関心のある方を見つけ出せれば、高くコンテンツを売りつけることもできます。ただし、その探索にもコストがかかります。ここできわめて優位な立場にいるのが、巨大なコンテンツプラットフォーマーたちです。顧客情報を膨大に取得しているからです。

 第四は、「複写可能性」です。とくに、デジタルコンテンツは、複写コストがほぼゼロです(先の限界費用ゼロと同じ理由)。そこで、違法コピー問題がネットの世界では無限に繰り返されます。逆に、フリーで、みんなに使ってほしい人には大変に優れたシステムといえます。

 以上のほかにもまだまだ特性はありますが、それはおいおいお話しします。

 ここでは、以上の4つの特性からでも「新しいICTビジネスまたは既存ビジネスの応用」にも役に立つといえます。皆さんのビジネスでも、4つの特性から、再度検討・評価すると、思わぬ発見があるかもしれません。

 

 

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