第2回 経済学の役目
人間の欲望は無限です。にもかかわらず、それを実現する手段は有限なので、その制約下で、最大の効果をあげることが、経済原則なのです。
いいかえると、希少な「資源配分」の問題といえます。
そこで、経済学では、その資源がもっとも効率的に利用されることを目指します。これもいいかえると、「効率性」の追求といえます。
効率性とは、「費用対効果」を考えるということです。費用とは限られた資源であり、個人では家計、企業や国家では予算を指し、効果は、個人では効用、企業では収入であり、政府では便益です。前者が分子で、後者が、分母と考えると、「1円当たりの費用がいくらの効果を生み出すか」ということを指します。効率性の追求とは、その最大化を目指すとみるのです。
よって、経済学の第一の役目(目的)は、「資源の最適な配分」なのです。
しかし、これだけでは、所得格差や資産格差を是正できません。自由な経済活動は、資源配分は可能ですが、なにもしないと経済格差が拡大していきます。社会には様々な理由で、貧困層が生まれます。そこで、「公正・公平・平等」の観点から、富める者から、貧しい者への「富の再配分」をおこないます。
これが、経済学の第二の役目です。ただ、本来、自由な経済活動を認めるのが自由主義経済社会ですから、富裕者からどれだけの富を、再配分すべきかは、様々な見解が存在します。先の公正や公平(衡平)や正義の概念は「価値の概念」であり、価値観は、個々人や立場によって異なりますので、一義的に決定することが困難な問題のひとつなのです。
これ以外の役目や目的としては、とくに、政府の役割ですが、自国の「経済の安定化」や「経済成長」の実現もあります。