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第42回 長期均衡

 これまでは、「短期(short-term)」における費用関係をみてきました。

 ここでは、「長期(long-term)」における費用関係を考えてみます。

 この2つを分けるメルクマールは、固定費用が可変化するかどうかでした。すなわち、固定費用が時間の経過とともに、変化する場合を長期といいます。ですから、いくら実時間が永くても、固定費用が変わらなければ短期概念を使います。

図表 長期均衡

 図表における、LACは、長期平均費用を指します。短期平均費用の包絡線として作られます。これに対して、LMCは、長期限界費用です。

 ここでも完全競争市場を考えています。その成立条件として、多数の売り手(企業)がおり、かつ、市場への参入(または退出)が自由がありました。そこで、新しく大変に魅力のある市場、たとえば、市場が急成長して大きな利潤がとれる市場では、それを見越して多くの企業が市場に参入してくるでしょう。参入が多くなればなるほど市場競争は激化するでしょう。すると、市場価格は低下します。

 ついには、長期平均費用と長期限界費用が交わるA点まで下がるでしょう。このA点を「長期均衡点(long-term equilibrium point)」とよびます。これは、すでにみた長期平均概念における損益分岐点です。

 これ以上、市場価格は低下しないでしょう。なぜなら、超過利潤が存在しないので、市場に参入するうまみがないからです。ここで、参入競争は収束(終息)するといえます。

 

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