第65回 最適消費点
ここでは、2財の消費における「最適消費点(optimum consumption point)」を考えます。
前回お話をした無差別曲線が、図表のU曲線です。今一度述べますと、U曲線上の効用は同じなので、差別化されない曲線という意味で、無差別曲線と呼んでいます。
横軸がA財の消費量で、縦軸がB財の消費量です。
ここで、ミクロ経済学は、消費者であれ、生産者であれ、限られた資源(予算や費用)を使って、最適な量を導き出します。
ここでは、消費者における問題なので、個々人の所得(家計)を考えます。
それを定式化すると、①式となります。
I = Pa・A + Pb・B ・・・・・・①
(I:所得、Pa : A財の価格、A:A財の消費量、Pb:B財の価格、B:B財の消費量)
この①式は、ある個人の予算線(BL: budget line)です。一定のI(所得)の中で、最大の消費を考えようとしています。予算線より下は購入可能ですが、予算を使い切っていない状態です。また、予算線以上は、購入不可能です。
よって、予算すべてを使った最大の消費量は、E点となります。
この①式を変形すると、②式が得られます。
B = -(Pa/Pb)A + I/Pb ・・・・・②
②式のAの係数は、②式の傾きを示しています。
E点での接線の傾きは、前回みた「限界代替率(MRS)」でした。
ここで、最適消費点の条件は、
MRS = Pa/Pb ・・・・・・③
となります。
すなわち、無差別曲線と予算線が接するE点は、限界代替率と予算線の傾きが同じになることを意味しています。