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第79回 保護貿易のための関税効果

 今回は、自国の生産者を守るために、保護主義的行動を国がとると、国内の総余剰がどうなるかを考えます。

 保護貿易のためには、大きくいうと、「輸入関税(import duty)」を課す場合と、「輸入量規制(import quantity regulation)」をする場合があります。総余剰という面では同じ効果なので、このコラムでは、関税を課す場合のみをみていきます。

 ここでも、図表をつかって議論をしていきます。前回の自由貿易の市場構造に、関税(t)が課された場合なので、前回の図に課税部分を追加すれば議論できます。

 なお、ここでは、小国の貿易を考えています。

図表 関税の効果

 図表のD曲線は、ある財に関する国内の全体需要を示しています。S曲線は、生産曲線でした。ここで、貿易が行われる前には、需要と供給によって、均衡点Eができました。その場合の均衡量はQ1で、均衡価格はP1です。また、この場合の消費者余剰は、「AEP1」の三角形の面積です。生産者余剰は、三角形「P1EC」です。ここまではまったく前回と同じです。

 ここで、貿易が行われ場合、国際価格(Pw)に対して、国内生産者を守るために、関税tを課したとします。図では、Ptという黄色の線で表されています。

 これによって、国際価格Pwでの輸入の場合には、国内消費量はQ2で、国内生産量はQ3でしたが、関税が課された場合は、国内消費量はQ5で、国内生産量はQ4となります。課税分ほど国際価格よりも価格が上昇しているので、消費量は減少し、生産量は増えることになります。

 また、輸入量は、(Q5-Q4)です。ということは、政府の関税収入は、四角形FGIHとなります。これは国民に将来的に還元されるので、余剰のなかに含めます。

 ここで、消費者余剰は、三角形AGPtとなります。また、生産者余剰は、三角形PtFCとなります。

 これからみると、自由貿易と比べると、三角形FHBと、三角形GEwIは、死荷重となっています。この部分が、自由貿易と比して、総余剰が減少していることが分かります。

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