総合システム論 第13回 構造という言葉
今回から、数回にわたって、構造主義について議論をしていきますが、まずは、構造という言葉をここで検討します。
『デジタル大辞泉』では、構造について、3つの定義を挙げています(3つ目の数学定義は割愛)。
その第一は、「1つのものを作り上げている部分部分の材料の組み合わせ方」または、「そのようにして組み合わせてできたもの」であり、「仕組み」という。
第二は、「物事を成り立たせている各要素の機能的な関連」、または、「そのようにして成り立っているものの全体」であるという。
上記の2つは、ほぼ同じようなことをいっているといえますが、第一番目は、どちらかというとハードウエア(モノ)を念頭においており、第二番目は、現象や事柄の機能的なつながりを意味していると考えられます。英語の表記でも、前者は、「construction」で、後者は、「structure」に対応しているようにみえます(ただしこれ自体もかなり曖昧です)。
さらに、『Weblio 日本語word net』では、構造の類義語を分類しています。
意義素も多くありますが、ここでは、3つのみをまとめて紹介します。
その第一は、特徴的なパターンによる組織的な分類で、「社会構造」「組織」「社会体系」「社会制度」「社会組織」「社会ステム」などが挙げられています。その第二は、整理や分類に着目したもので、「取り合わせ」「システム」「体制」「構成」「系列」「系統」「仕組」「編成」などです。第三が、要素の組み合わせを特徴点としてみた場合で、「作り」「仕組み」「機構」「メカニズム」「組成」「からくり」などです。
ここにみるように、構造は、様々な用語や類義語を持っているとともに、総括していうと、「要素の体系」といえるでしょう。それは、すでに、類義語でも出ているように、「システム」それ自身であり、「システムのメカニズム」を示しています。本コラムは、総合システム論なので、この構造という言葉が極めて重要な言葉(概念)なのです。
いまある社会システムとして、国家、社会、企業、組織をどうみるのか。そして、21世紀初頭に生きている私たちとしては、どのように、社会環境・時代環境に適応させていくのか。または、商品、事業、組織、企業を新しく創造するために、構造をいかに「想造(イナクト)」すればいいのかを考えようとしているのです。
これを一言でいうと、「再構築(リストラクチャリング)」のためには、構造の本質を見破る思考が必要となるということです。
皆様、自粛の時、静かに、深く、反転攻勢するために、既存構造を乗り越えるイナクトをしましょう。